はじめに
最近、親父がポツリと言い出す事がある。
『なんかの拍子でフッと母ちゃん良くならんかなぁ…』
その言葉を聞いて現実主義の私は
『えっ!どの時点に…( ̄▽ ̄;)』と思ってしまう。
もちろん親父のイメージは認知症になる前の母の姿だろうが
私は色んな事を思い出してゾッとした。
いつでも、死ぬか大ケガするかのスレスレな毎日だったからだ。
平成18年9月(母・当時57歳)にアルツハイマー型認知症と
診断された時は病院の先生に
『この病気は10年もたないと言われています。
しかもお母さんは現時点でかなり進行しています。
後5年生きれれば良い方だと思いますよ。』
とハッキリ言われた。
その翌年のMRI検査では、かなり脳が収縮していて
更に現実を突き付けられた。特に海馬の収縮がハンパなかった。
しかも、その翌年は検査にならなかった…
認知症が更に進行した母は、MRIの大きな音に耐え切れず
発狂し、暴れたからだ。
それから10年が経過している。
母はまだ生きている。
血圧は正常値に戻ったし、肌ツヤも良い。
が、認知症の進行具合から脳の収縮はかなりのものだと推測される。
だから今、フッと良くなっても元の状態は難しいだろう…
ただ、先生が言った寿命よりはかなり長生きしている。
私は親父の魂込めた介護が先生の予想を遥かに上回ったのだろうと信じている。
そうなると、いくら現実主義の私でも夢を見たくなる…
親父の様に母が元に戻る事は100%想像できないが、
きっと親父よりも早く他界する事は覚悟している。
ただその時、その最後の一言で『ありがとう』と親父に言って欲しい。
その一言で親父は母の分まで長生きしようと思ってくれるはずだ。
怖いのは母が他界した後の親父の精神力だ。
もちろん全力で支えていくが、母の一言があればと願うばかりだ。
そんな事を考えながら昔を思い出していたら、この事を記録に残してみようと思った。
アルツハイマーの症状は様々で、何の役にも立たないかもしれないが
介護で苦しむ方々にとって何らかのヒントにでもなればと思ってます。
また、親父の意向で母親の姿や名前等は記載できませんが嘘や偽りはありません。
認知症発症から今に至るまでを『思い出の介護録』として綴っていこうと思います。